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シンプルな構造で、地震の揺れに強い。それが「レンズ型制震ダンパー」です。

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プレスリリースPRESS RELEASE

制震部材を用いた建物のエネルギー法による構造性能評価取得(2014年8月6日)

制震部材を用いた建物のエネルギー法による構造性能評価取得
−レンズ型せん断パネルダンパーを有する建物の試設計について−


 飛島建設株式会社(社長:伊藤 寛治)と鉄建建設株式会社(社長:林 康雄)と日本鋳造株式会社(社長:岩波 秀樹)の3社は、「レンズ型せん断パネルダンパー(以下「LSPD」と称す)を有する新築の鉄骨造建物」を用いたエネルギー法による試設計を行い、設計法を構築しました。そして、平成26年3月31日に、日本ERI株式会社の構造性能評価委員会にて、その設計内容(確認申請における構造設計の部分)が適正なものであるとの評価(ERI−K13017)を取得しました。

レンズ型せん断パネルダンパー(LSPD)とは

 LSPDは、建物の耐震性の向上を目的として開発された履歴型ダンパーで、レンズ型せん断パネルおよび高力ボルト、パネル取付けプレートから構成されています(図1)。レンズ型せん断パネルは(図2)、低降伏点鋼(LY100、LY225)を用いた平板で、中央部の両面を凹レンズ状に削り取っている点が特徴です。中央部を削ったことで、局所的なひずみがパネル全体に平均化され、ひずみと応力の集中が低減されるため、LSPDは、繰返しの塑性変形に強く、より多くのエネルギーを吸収することができます。
 「LSPD設計法の構造安全性」については、平成24年6月に(財)日本建築センター鋼構造評定委員会で、評定を取得しています。

エネルギー法とは

 平成17年国土交通省告示第631号「エネルギーの釣合いに基づく耐震計算法」(以下、エネルギー法と称す)は、建物の構造安全性を確認するための計算法の一つで、建築基準法では、限界耐力計算と同等以上の計算法とされています。また、エネルギー法は、履歴型ダンパーを有する建物にも適用することができます。

「履歴型ダンパーを有する建物」の設計にエネルギー法を用いる利点

@制震部材である履歴型ダンパーを有する建物の静的設計が可能となります。
A「履歴型ダンパーを有する建物」の場合、履歴型ダンパーは、主架構の部材と比較して、より小さな変形で塑性化し、より多くの繰返し塑性変形を受けます。エネルギー法は、エネルギー量を評価の指標としているため、「履歴型ダンパーを有する建物」の構造安全性を確認する上で重要な履歴型ダンパーの累積塑性変形を適切に評価することができます。
Bエネルギー法を用いた場合は、比較的簡便な計算で設計ができます。時刻歴応答解析のような特殊な解析プログラムは不要で、断面算定や増分解析を行うための一貫構造計算プログラムと表計算ソフトで対応可能です。
C「履歴型ダンパーを有する建物」の場合、時刻歴応答解析による設計で、履歴型ダンパーを構造部材として扱うためには、大臣認定を取得する必要があります。大臣認定を取得しない場合、履歴型ダンパーは付加価値扱いとなります。一方、エネルギー法により設計を行った場合は、大臣認定なしで履歴型ダンパーを構造部材として扱うことができます。
履歴型ダンパーを構造部材として扱う場合は、エネルギー法を採用した方が設計工期の短縮を図ることができます。また、大臣認定を取得しない場合は、エネルギー法を採用した方がコストを削減できる可能性があります。

背景

 前述の通り、エネルギー法は、履歴型ダンパーを有する建物の設計に適した構造計算法であると考えられますが、一般的にまだ実施例が少なく、設計者にとっては採用しづらい状況にあります。そこで我々は、「LSPDを有する新築の鉄骨造建物」を対象として、エネルギー法による効率のよい設計法の構築を目指して試設計を行いました。また、確認申請機関により、大臣認定ルートを通らずとも通常の設計ルートで特定行政庁の了解を得られる構造設計の性能評価を取得することを目指しました。

検討概要

 エネルギー法による設計は、図3に示す検討フローに従って行います。エネルギー法独自の検討を行うのは、稀地震および極稀地震に対する検討の部分で、それ以外の部分は、従来からの構造計算法とほぼ同様の検討を行います。

 ・検討方針

 稀地震に対して、建物の機能保持を目標とし、@主架構の各部材が短期許容応力度以内に収まっている(LSPDの塑性化は許容する) A層間変形角が1/ 200 rad以下である B残留層間変形角が1/ 1000 rad(推奨値)以下である、以上3点を確認します。
 極稀地震に対して、建物が倒壊しないことを目標とし、主架構と履歴型ダンパーでそれぞれ、必要エネルギー吸収量が保有エネルギー吸収量以下であることを確認します。

 ・適用範囲

 LSPDを有する建物をエネルギー法で設計する場合、「建物の構造種別は、鉄骨造、RC造、SRC造およびこれらの併用構造」、「建物の高さは、60m以下」を適用範囲とします。

構造瀬能評価を取得した試設計の概要


 ・建物概要

 試設計建物は、最高軒高27.44 mの地上7階建ての鉄骨造事務所ビルです。X・Y方向ともに純ラーメン構造で、LSPDを各階に4基ずつ、合計28基設置しています。図4に建物図面を示します。

 ・稀地震に対する検討結果

 稀地震時に建物に作用するエネルギー量(Ed)は、64.0 kN・mとなります。一方、主架構の全ての部材が短期許容応力度以下に収まる範囲で、建物が吸収できるエネルギー量(We) は71.3 kN・mとなります。We≧Edであることから、主架構の全ての部材が稀地震に対して短期許容応力度以内に収まることが確認できました。稀地震時の各階の層間変形角は1/ 432 rad〜1/ 299 radであり、1/ 200 rad以下となることが確認できました。また、稀地震による1階の残留層間変形角は1/ 135817 rad(他階は残留変形なし)であり、1/ 1000 rad以下となることが確認できました。

 ・極稀地震に対する検討結果

 極稀地震に対する各階の必要エネルギー吸収量は、主架構で20.4 kN・m〜134.6 kN・m、LSPDで4.2 kN・m〜24.2 kN・mとなります。尚、LSPDの必要エネルギー吸収量は、告示に準じて、5回の稀地震と1回の極稀地震で塑性変形により吸収する必要のあるエネルギー量としています。各階の保有エネルギー吸収量に対する必要エネルギー吸収量の比は、主架構が0.05〜0.10、LSPDが0.54〜0.93であり、主架構・LSPDともに、エネルギー吸収量が極稀地震に対して余裕があることが確認できました。

今後の展開

 現在、飛島建設・鉄建建設・日本鋳造の3社と商社機能・設計コンサルティング機能を持つそれぞれの関連会社3社の計6社と大学の有識者によるレンズダンパー推進協議会を設立し、制震構法の研究、勉強会などを行っています。現在、建設会社をはじめ数社から、協議会への入会希望の打診があります。
今後は、協議会に多くの有識者、設計事務所、コンサルティング会社、建設会社、メーカーの参加を募り、エネルギー法の浸透とLSPDの普及を共に推し進めていく予定です。

ニュースリリースに関するお問い合わせ

飛島建設株式会社 経営企画室 広報室 松尾和昌 TEL: 044-829-6751

技術・資料に関するお問い合わせ

飛島建設株式会社 建設事業本部 耐震ソリューションG 久保田雅春 TEL: 044-829-6737
鉄建建設株式会社 建築本部 建築営業部  三塩洋一  TEL: 03-3221-2135
日本鋳造株式会社 エンジニアリング事業部 設計部  原田孝志  TEL: 044-355-5033




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